氷のよくある質問
透明な氷を家庭でも作れますか
寒い冬の朝、水溜りや、バケツの水の表面に透明な氷が張ることがあります。軒先のつららも透明です。これらを冷蔵庫の中で再現すれば透明な氷を作ることは可能です。
氷の白濁の原因は主に水の中に溶け込んだ空気です。
水の中には魚が生きられるくらい豊富に空気が溶け込んでいます。
これらの空気は凝縮されると細かな気泡となり、乱反射して空中の雲のように、雪のように白く見えるのです。
透明なガラスを粉砕すると白い粉のように見えるのも、この乱反射のためです。 要約するなら、
「水を一方向からゆっくり凍らせれば透明な氷ができる。」水を煮沸するなどして脱気することで透明な氷が出来るとの記述をよく見かけますが、正確ではありません。
密閉容器など特殊な環境でない限り、空気はゆっくり水中に溶け込んできますので、脱気したまま凍結させることはほぼ不可能です。
- 水をゆっくり凍らせる ご家庭で出来るもっとも簡単なことは、ゆっくり凍らせることです。
- 一方向から凍らせる。 -20℃前後の冷凍庫内では製氷器、製氷皿は八方から冷やされ、八方から凍結が進むため、 この方法は一般の冷凍冷蔵庫で実現させることははぼ不可能です。
ゆっくり凍らせることで、水は容器内で対流し、氷の成長前面にある高濃度の空気層を洗い流し透明に凍ります。
ゆっくり凍らせる昔からの方法は、製氷皿を設置する冷却板がある旧式の冷蔵庫の場合、製氷皿を直接冷却板に載せるのではなく、製氷皿の下に割り箸を置く、
一般的な冷凍冷蔵庫の場合は、断熱性が高いシリコン樹脂製等の素材の製氷器を使い、製氷器、製氷皿をタオルなどで包む方法があります。
しかし前野氏の記述のように、氷が水の空気の溶解限度を越えて凍結し始めた時点で氷の白濁が始まります。
どちらの場合も完全に凍らさず、途中で取り出す必要があります。池の表面の氷が透明なのは完全に凍ていないからです。
製氷皿の氷の中心部が特に白いのは、八方から押し出された高濃度の空気層がそこで最後に凍っているからです。
氷・純氷について
氷の必要量を教えてください。
一般的には以下の計算式が使われます。Q=(t1+t2)×(t3-t4)÷79.8
Qは氷の必要量:kg、t1は飲み物の量:リットル、t2はドブ漬けの場合の水の量:リットル、t3は飲み物の温度、t4は冷やしたい飲み物の温度、79.8は氷の潜熱です。
(ドブ漬けとは飲み物を氷で冷やした冷水に漬け、イベントなどで大量に飲み物を冷やすときに使う方法なので、小さなクーラーボックスなど水を必要ない場合は無視してかまいません。)
平たく言えば、氷の量は飲み物の量(水を含めた)、冷やしたい飲み物の温度で決まります。
例として5リットルのクーラーボックスに半分の量の飲み物を入れ、
飲み物が外気温25℃と同じで、飲み頃の7℃に冷やしたい場合を考えてみます。
2.5リットル×(25℃-7℃)÷79.8Cal≒0.56kg
注意しなければならない点、この計算式の意味は560gの氷が完全にとけたとき、2.5リットルの飲料が7℃に冷えるというもので、
完全にとけなければ7℃にはならないし、とけ切った後は室温に徐々に近づくということを意味しています。
しかし実際は、7℃に冷やすということは、最低でも30分前後はその状態を保てなければ意味がない。
ということは7℃の状態を2、3時間は保ちたいのであればその分の氷が必要であり、
またクーラーボックスに侵入してくる外気温、クーラーボックス開閉による浸入熱も考慮しなければなりません。
そのため目安として、飲み物の温度25℃を7℃に冷やすための氷量に、浸入熱20%、氷の残存率20%(保冷持続用の氷)を加え、1.4倍で計算したのが下の結果です。
季節による温度差、飲み物の量、保存時間等の条件により結果は異なりますのでご自身で計算お願いいたします。
- 飲み物を半量入れた場合の、クーラーボックスサイズごとの必要な氷重量の目安。
- 5リットル:800g(1kg)
- 7リットル:1.1kg(1.4kg)
- 14リットル:2.2kg(2.7kg)
- 25リットル:4.0kg(4.8kg)
- 35リットル:5.5kg(6.8kg)
- 46リットル:7.3kg(8.9kg)
- 72リットル:11.4kg(14kg)
()はビールの飲み頃3℃の場合
砕氷(カチ割氷)
かき氷の氷必要量を教えてください。
氷1貫目(3.75kg)で20杯分のかき氷が作れます。かき氷機は角氷(ブロック氷)式と砕氷(カチ割氷)式の2種類ありますのでご注意ください。
角氷(ブロック氷)式は例えれば氷の表面をカンナで削る方式なので、調整により綿菓子のようなフワフワのかき氷ができますが、調整、氷の固定の仕方など慣れが必要です。
1貫目を横1/2にカットしたおよそ12cm角の氷でご利用いただけます。
砕氷(カチ割氷)式は喫茶店の自動製氷機の氷等が使え、氷投入口から砕氷(カチ割氷)を投下しスイッチを入れるだけで、素人でも簡単にかき氷が作れます。
砕氷の粒は6cm前後のコンビニ、スーパーマーッケットなどで販売されているサイズの氷では、
空回りして効率よく削れない場合がありますので、自動製氷機の柔らかい氷か、小粒砕氷が適しています。
かき氷1杯分のシロップの目安は、36cc、1.8リットルかき氷シロップ1本で50杯分です。
かき氷シロップはこちらから
美味しいかき氷の削り方
- 名店の努力、工夫、こだわり
- 氷は常温に戻してから削る。 氷を長期保存するためには冷凍庫での保管が重要ですが、-18℃前後に冷却された表面が白く粉を吹いた状態の氷では 美味しい氷は削れません。
- 刃の研磨 かき氷機の刃はメーカーにより使い捨てのステンレス製と、研磨することにより何年も使えるスチール製があります。
- 刃の調整 氷を載せる台の下には刃の調整用つまみが付いています。
- 雪の受け方、盛り方 器を片手で持ち、ゆっくり回しながらもう一方の手で崩れないよう円錐状に軽く押さえていきます。
木桶や、発泡スチロール箱などで、氷の表面が露噴いてくるまでゆっくり常温に戻してからご利用ください。 木桶の艶吹いた氷は、目にも涼しく、美味しさを演出してくれます。
なお大量に削る繁盛店では、保管用は冷凍庫、かき氷用は冷蔵庫に収納しています。
刃は鋭利で均一であり、刃こぼれのないことが望まれます。名店の中には研磨の刃先の角度にまでこだわれています。
このつまみを左へ回すと刃先が下側に倒れてきますので、刃先が台と同じ高さにくるところで止め、刃先のラインが、台と平行であるか確かめます。もしどちらかに偏っていると、均一な削れ方をしないので、刃を固定しているネジをドライバーで緩め、刃先が台と平行になる位置に固定しなおします。
次に常温に戻した氷を台に載せ、ストッパーで固定してスイッチを入れます。この段階では刃先が台と同じ高さなので氷は空転するだけで削れてきません。
ここで刃の調整用つまみを少しずつ右へ回していきます。徐々に絹のように糸を引いて氷が削れてくるはずです。
好みや、仕上がりの速さを重視するかにもよりますが、一般的には綿菓子のような雪になってきたところで調整を終了します。
大きく丸く盛り付けるためには、器を途中から斜めに傾け綿菓子の綿を巻き取るように回してください。
とけない氷はありますか
大気圧下(1気圧)の常温でとけない氷はありません。超高圧装置で結氷させた氷は常温でもとけませんが、装置から取り出した瞬間とけます。
氷はとけて水になるとき周囲から熱を奪い、飲み物を美味しく冷やしてくれます。
とけない氷は美しくはあっても、ガラスのような存在でしかありません。
とけない氷「アイスキューブ」は氷より優れているか
アイスキューブとはステンレスやプラスチック、石(花崗岩など)でできた、飲み物を冷やすためのアイテムで、冷凍庫で冷やして使用します。ステンレス、プラスチック製のアイスキューブ内部には水、エタノール、グリセリン等が入っており、一種の保冷剤と言っていいかもしれません。
- アイスキューブの素材ごとの特徴
- ステンレス サビに強く、高級感があり、清潔に保ちやすい。
- プラスチック 軽く、安価で、カラフル、フルーツ形やハート形など様々な形状に加工しやすい
- 石 天然の花崗岩等の石で出来ており、耐久性に富み、熱湯消毒できるので衛生的である
金属は熱しやすく冷めやすい(ステンレスの比熱は0.46である)ので、内部に水、エタノール、グリセリン等を入れて保冷効果を得ている
アイスキューブの長所
氷と違ってとけることがなく、飲み物が薄まらないのが魅力です。洗ってくり返し使えることからエコなアイテムと言えます。
アイスキューブの短所
アイスキューブ芯部を含め全体を均一に冷却するには、冷凍庫で長時間冷却しなければならないため、この間に冷蔵庫臭が付着しやすく、飲料の味を損ねる。
氷には凍結による潜熱というそれ自体が生み出す冷却能力があるが、石製やエタノールが入ったアイスキューブは凍結しないため、
冷却されたアイスキューブと飲み物の間で熱が移行し冷やされる。
アイスキューブ1個当たりの冷却能力は氷より遥かに劣るため、飲み頃に冷やすためには氷より重量(数)を増やさなければならない。