ドライアイスの危険性について
ドライアイスはアイスクリーム、ケーキなどをご購入の際に無料で付いてくるお店があるほど、便利で、身近な保冷剤として普及してきました。
ドライアイスは氷と違い、とけて水になって食品を濡らし汚すことがなく、それ自体は無味無臭無毒で有益な物質であり、
電気が通じない場所、冷蔵庫の故障時の食品保冷、極低温を必要とする実験などになくてはならない冷媒です。
しかしむしろ容易に手に入ることが思わぬ落とし穴になるをご理解いただかなければなりません。
ドライアイスは実際は取扱い次第により、非常に危険な物質でもあるからです。
ドライアイスのメーカーや、販売店は注意事項として明記していますが、
必要最低限の説明しか記載していないのが実情です。
しかし当社はあえて、死亡事故を含めた重大事故を明記することにいたしました。
ドライアイスの三大危険事項!!
1. 酸欠による死亡事故 2. 容器の爆発による失明、顔面、四肢への損傷 3. 凍傷などの低温障害1. ドライアイスの酸欠による死亡事故
ドライアイスが気化して発生した炭酸ガスは空気より重いため、 密閉容器、密室では空気を押し出し容器内、室内に充満して内部を酸欠状態にします。炭酸ガスは水分と反応しない限り、あの独特のツンとした酸味、刺激臭はせず、無色無臭のため危険です。
地下室、プレハブ冷凍庫、コンテナ、船内などの密室では強制換気装置などがない限り、室内、庫内での長時間作業は非常に危険です。
高濃度のガスが充満している場合、10分から15分で、激しいあえぎ、意識不明に陥る可能性があります。
意識不明のまま数時間で死に至ることから、一人での作業は厳禁です。
最も危険なのはドライアイスで保冷した、プレハブ冷凍冷蔵庫内での作業、大型コンテナ内での作業です。
冷気が逃げ出さないように扉を閉めたままで長時間の作業をしてはいけません。
どうしても室内作業が必要な場合は一定の休憩時間を挟み、体調不良者が出た場合を想定して、早急に救助出来る体制を取って作業してください。
少量のドライアイスだからと油断してはいけません。
ドライアイスの発生ガス量は、もとの体積の数百倍(0℃で750倍)に達するからです。
ドライアイスを車で運ぶ場合はなるべくトランクに収納し、車内に置いてはいけません。
どうしても車内に持ち込まなければならない時は、クラ-ボックス、発泡スチロール容器、 段ボール箱などに入れ、ドアを肩あたりまで開けて運転してください。
お子様を同乗させる場合はお子様の口の位置までドアを開けて運転してください。
長時間運転しなければならない時は、途中で休憩し、ドアを全開し空気を入れ替えてください。
ドライアイスの死亡例1
ドライアイス販売業者はドライアイスの運搬を運転席と、荷台が完全に分離した箱車を使用しますが、箱車を所有していない業者が、ワゴン車にドライアイスをシート掛けしただけで配送し、
車内に炭酸ガスが充満して酸欠で死亡した事例がいくつか報告されています。
長時間運転しなければならない時は、途中で休憩し、ドアを全開し空気を入れ替えてください。
配送完了後、修理完了後は必ずドライアイスを車外、屋外に出し、十分換気を行ってください。
ドライアイスの死亡例2
葬儀場での死亡事故も何例か報告されています。ひつぎ内にはご遺体のそばにドライアイスが幾つか配置されており、
ひつぎ内には冷気を帯びた炭酸ガスが充満しています。
ひつぎに顔を入れた状態で亡くなっていた方がおられます。
悲しみに暮れたご遺族等が故人とのお別れを惜しみ、
長時間ひつぎに顔を入れていたことが原因とされています。
のぞき窓、ひつぎの外から別れを惜しまれる事は何ら問題はありません。
ただ、ひつぎ内は酸欠状態になっていることを理解し、長時間ひつぎ内に顔をうずめ泣きくれておられる人がおられましたら、必ず身内の方が見守ってあげてください。
家族葬、お通夜など人の目が行き届かない状況では特に注意が必要です。
小さな葬儀場、日にちを跨いだ葬儀などは寒くても常時式場の扉を少し開け、換気に注意してください。
イベント、パーティーなどの白雲演出など室内で多量にドライアイスを使用する場合は、
必ずドアを開けて換気を心がけてください。
窓を開けるだけでは、窓の位置がお子様の背の高さより上にある場合、大人は大丈夫でも、
子供は酸欠や中毒症状に陥る可能性があります。
余談ですが、酸欠死を逆手に取った病害虫駆除にもドライアイスは使われます。
米、小麦粉などの穀類、煮干、鰹節などを餌とする通称コナムシと呼ばれる小さな害虫が発生することがあります。
コナムシは殺虫剤を噴霧すれば駆除する事が出来ますが、薬剤で汚染された食品は破棄するしかありません。
しかしドライアイスは無毒であるので、米びつ、などの容器にドライアイスを入れ、
蓋をして酸欠死させることで薬剤に汚染させることなく、コナムシを退治することが出来ます。
農家ではコクゾウムシ退治にドライアイスをよくご利用されます。
コナムシは殺虫後ふるい器などで取り除いてください。
2. 容器の爆発による失明、顔面、四肢への損傷
ドライアイスの昇華時の発生ガス量は0℃の場合で、もとの体積の約750倍、1kgのドライアイスで約0.5m3のガスが発生し、密閉容器の場合のガス圧は70kg以上に達しますので、
密閉容器の場合、シャンパンのように蓋、栓と内容物を吹き飛ばすか、容器自体を破裂させます。
羽根を付け、ロケット形に細工したペットボトルに水とドライアイスの欠片、
またはドライアイスの欠片のみを入れて飛ばすロケット発射実験が一時流行りましたが、
発射が遅いため覗き込んだ生徒の目を直撃し大怪我を負わせた事例が報告されています。
また同じ時期、ペットボトル爆弾と呼ばれた顔面、四肢への損傷事件が公園、運動場等で多発しました。
ペットボトルにドライアイスの欠片を入れ、蓋をして公園などに放置しガス圧で爆発させるという、 遊び感覚の犯罪です。
爆発音で人を驚かせるつもりが、破裂したペットボトルの破片が通りがかった通行人の露出した、
顔面四肢に突き刺さり、負傷者が出た事でマスコミに取扱われ、模倣犯もでたことで当時話題となりました。
最近は類似犯のニュースは聞きませんが、異常に膨張したペットボトルを目にしたら近づいてはいけません。
ペットボトル爆弾を疑い、危険物として対処してください。
ただし、クーラーボックス、発泡スチロール、段ボール箱、冷蔵庫などへの収納は、
ガムテープなどで蓋や扉を貼り付けても隙間からガスは自然に漏れ出ますので心配することはありません。
危険な容器はペットボトル、ガラス瓶、魔法瓶などのネジ式の蓋がある容器です。
ネジ式の蓋はガス圧が低い状態では片手で簡単に開け閉めできますが、ガス圧が高くなると、
容器が膨張して変形し、両手の力でも蓋が開けられなくなるからです。
また危険を感じたら容器の蓋を外せばよいと軽く考える事も危険です。
手遅れになる可能性が高く絶対やめてください。
生真面目な子ほど逃げ出さず、頑張って開けようとします。
ペットボトル、魔法瓶、ラムネビン等で重大な事故が発生しています。
インク瓶では失明された方もおられます。
普通の飲料にドライアイスを入れて炭酸飲料を簡単につくることができます。
一時流行した事もあり、単発的に今も体験型実験等でよく取り上げられたりします。
しかし砂糖水でラムネを作ろうとして、ラムネビンを使うのは非常に危険です。
ガス圧がビー玉を押し上げて栓をしてしまうことがあるからです。
また、非炭酸飲料用ペットボトル、くびれた容器は、蓋をしなくても破裂することがあります。
非炭酸飲料用ペットボトルは耐圧性に乏しく、くびれた容器は急激な膨張に耐えられないからです。
これらの事実はあまり知られていないと思われます。
保護者の方、指導者は肝に銘じてください。
3. ドライアイスの凍傷などの低温障害
ドライアイスの表面温度はー78℃ですが素手で一瞬触っただけで凍傷を起こすわけではありません。しかし水で濡れた皮膚、軍手などでは水が瞬時に凍結し、皮膚に氷が貼り付くことから、凍傷を起こす原因になります。
ドライアイスを掴むときは、乾いた手袋、ミトン、鍋つかみなどをご利用ください。
乾いたタオルなどで代用することもできます。
冷蔵庫が故障したときに保冷用にドライアイスをご利用する場合は、冷気は下に降りるため食品の上部に配置してください。
冷凍食品の場合はそのままでかまいませんが、生ものの場合ドライアイスに接した面が凍結するため、
段ボール紙などで直接の接触は避けてください。
ドライアイスは1枚ずつ新聞紙で包んだ方が長持ちしますし、凍結の予防にもなります。
また、ドライアイスは気化し炭酸ガスとなります。
炭酸ガスは水に溶けやすいため、水分の多い食品は酸味を帯びますのでラップで包むなどしてください。
酸味を嫌う食品が多い場合は、水を張った器を庫内に置き、炭酸ガスをその水に吸収させることで食品へ移りを軽減することが出来ます。